ドル/円相場は、82~83円水準まで値位置を切り上げる展開になっている。引き続き政権交代に伴う日本銀行の緩和姿勢強化の思惑が強く、ドル買い・円売り優勢の展開が続いている。足元では急激な円安圧力も一服しているが、特に改めて円を買い進むような動きもみられず、4月上旬以来のドル高・円安水準で揉み合う展開になっている。
12月の衆院選挙後に政権復帰する可能性が高い自民党の安倍総裁は、改めて緩和圧力を強めている。21日に発表された自民党の政権公約では、「欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日本銀行のアコード(協定)で定めるとともに、日銀の国債管理政策への協調などにより大胆な金融緩和策を断行」と明記している。さらに「日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」ともしており、日銀の緩和姿勢強化に対する期待感が強くなっている。野党などからは日銀の独立性などの観点から批判の声も強いが、少なくともマーケットでは素直に円売り材料と評価する向きが多い。実際に自民党政権が樹立するのか、政権交代後に公約が守られるのかなど不透明感も強いが、円サイドからは再びドル安・円高圧力を強めるのが難しい状況になっている。
一方、リスク投資の地合改善が進んでいることも、「安全資産」とされる円に対してはネガティブ要因になっている。欧州債務問題、財政の崖ともに今後の進展期待が強くなっていることで、投機マネーのリスク選好性が高くなっている。急激な円安進行で短期的な過熱感の強さは否めないが、値ごろ感からドル売り・円買いを仕掛けるのは難しい状況になっている。
今後1週間の予想レンジは、81.75~83.50円。